喜作家第四代当主、柏倉雪章が手作りした内裏雛と五節舞人形を特別公開いたします。個性豊かな表情、一部手描きによる華やかな衣装など、十数年ぶりの公開です。ぜひご覧ください。
【公開日】3月18日(土)19日(日)21日(火・祝)
10:00~16:00 (最終入館15:30)
【イベント】
巫女舞の披露 18日(土)13:00~
子どもたちが八坂神社の巫女舞を披露します。
お香を楽しむ会 19日(日)13:00~/14:00~
子どもお香教室の皆さんと一緒にお香で遊びましょう。
初心者向けなので、初めてでも大丈夫です。
風呂敷でおひな飾りを楽しもう 19日(日)
風呂敷の使い方を体験しながら、おひなさま飾りを作ります。
参加費:300円 定員:20名
【Oraiカフェ】
3月の営業日:3日~24日の 金・土・日・祝、31日
営業時間:10:30~15:00
五体の「五節舞人形」は、大正4年から6年にかけて作られました。雪章がこれまで作ってきた押し絵人形ではなく、本格的な衣装人形に取り組んだ最初の作品です。
五節舞とは雅楽の一種で、唯一女性が演じる舞です。天武天皇の時代に創始された舞で、宮中儀式の天皇即位式や大嘗祭、新嘗祭で舞われますが、大正天皇の即位式まで途絶えていました。
一体ずつ収納する箱には「御即位式御行事 五節舞人形」と記され、大正4年に行われた大正天皇即位式で奉納された五節舞を参考にしたと考えられます。また箱の蓋の裏面には、最初の(元の)頭は山形の人形師によるものでしたが、大正7年改めて東京十軒店 玉貞に注文して改修したことが記載されています。
―― 東京十軒店(じっけんだな)玉貞
東京日本橋に「十軒店跡」を示す石碑が残っている。三月の雛人形、五月の武者人形など節句用品を商う店が軒を連ねて時季には盛大な市が立った。多くの名工がいることで知られたが関東大震災と戦災により多くの店が焼失、最後まで残った玉貞人形店も平成10年代に閉店した。
後ろ姿を見てみると舞姫の裳(も 女子の正装の時に袴の上に腰部の後方だけにまとうもの)には鳳凰や松、青海波が一体ごとに意匠を変え手描きされています。画家としての雪章の本領が、隠れた部分に見てとれます。
過去の展示では舞姫は横一列に並び、箱にはその順番も記されています。しかし、このたびの展示では段を広くとり、雅楽本来の正方形の舞台に檜扇(ひおうぎ)を翻して舞う姿を再現しました。雪章は一体ずつ角度を変えて台座に配しています。様々な方向から舞姫を見ることができるように、また舞い踊る姫たちの動きを表現しようとしたのかもしれません。
(写真)五節舞人形の箱と後ろ姿/中山町教育委員会作成の 「柏倉喜作家人形目録」より
「大内裏(おだいり) 殿」「大内裏(おだいり) 姫」は、五節舞人形が作られて少し後、大正9年〜12年にかけて作られました。「首、手、冠ハ 東京十軒店 玉貞 調製」と箱裏に記録されていることから、「五節舞人形」を改修したときと同じ店に頭部や手を注文していることがわかります。女雛の裳(も)には「五節舞人形」と同じように、鳳凰と植物が手描きされています。
両脇の「左近の櫻」と「右近の橘」も雪章の手作りです。「大内裏 殿」「大内裏 姫」が制作された同じころ、弟子の石山太柏(東根市出身)による「金地柳櫻之圖 御雛屏風」を誂えました。「雛道具 一揃」を購入したのもこの頃です。
(写真)内裏雛の箱と後ろ姿/中山町教育委員会作成の 「柏倉喜作家人形目録」より
上記の内容をまとめたリーフレットをダウンロードできます。
→ 柏倉雪章と人形 → 2024年 ひなまつり → 2022年 ひなまつり